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テニス肘

テニス肘とは?肘の外側の痛みの正体

テニス肘は、オーバーユース(使いすぎ)によるスポーツ障害の一種で、医学的には「上腕骨外側上顆炎」と呼ばれる肘の外側に痛みが生じる疾患です。テニスプレーヤーの3~5割が経験するとされていますが、テニス競技者に限らず、幅広い年代・職種の方に発症する可能性があります。症状が進行すると、コップを持つような軽い動作でも強い痛みを感じて、日常生活に支障をきたすことがあります。

テニス肘の症状とは?初期〜重症まで

【初期症状】「なんとなく痛い」がサインです

初期のテニス肘では、手首の使いすぎによって以下のような症状が現れます。

  • 肘の外側がうずく・違和感がある
  • コップやカバンを持つとチクっと痛む
  • 疲れると痛みが強まる

痛みが出やすい動作一覧

  • ペットボトルの蓋をひねる
  • ドアノブを回す
  • タオルを絞る
  • 荷物を持ち上げる
  • PCマウスやスマホを長時間操作する

【進行症状】日常の何気ない動作でもツラくなる

  • 握力が弱くなり、物を落としやすくなる
  • 何もしていないのにジンジン痛む(安静時痛)
  • スマホや本を持つのもつらくなる
症状が進行する背景には、オーバーユースによる筋肉や腱への繰り返しの負担があり、早期の対処が重要です。

【チェック表あり】テニス肘の重症度チェック

軽度(初期症状)

テニス肘の初期症状-なかしま内科循環器・整形外科クリニック(西宮院)

  • 軽い痛みが肘の外側に感じられるが、日常生活には大きな支障がない
  • テニスや繰り返し動作をする際に痛みを感じるが、動かせる範囲に制限はない。

中度(進行症状)

テニス肘の中期症状-なかしま内科循環器・整形外科クリニック(西宮院)

  • 日常の簡単な動作(例えば、カバンを持ち上げる、ドアノブを回す)でも痛みを感じる。
  • 肘の外側に継続的な痛みがあり、使うとより悪化する。

重度(慢性症状)

テニス肘の重度症状-なかしま内科循環器・整形外科クリニック(西宮院)

  • 痛みが安静時や夜間にも現れ、睡眠を妨げることがある。
  • 肘の可動域が狭まり、手や腕にまで痛みやしびれが広がる場合がある。
  • 痛みが持続し、日常生活にも大きな支障をきたしている。
症状が複数当てはまる場合や、スポーツ障害・オーバーユースによる慢性的な痛みがある場合は、早めの診断・治療が重要です。

テニス肘と似た症状を持つ疾患とは?見分け方と注意点

「テニス肘だと思っていたら、実は別の疾患だった」そんなケースも珍しくありません。特に神経の障害は、テニス肘と似た症状(痛みやしびれ)を引き起こすため、正確な診断が重要です。

橈骨神経管症候群との鑑別がカギ

テニス肘の主な原因である「短橈側手根伸筋」のすぐ近くには、橈骨神経が走行しています。
この神経が圧迫されることで起こる橈骨神経管症候群(こうこつしんけいかんしょうこうぐん)は、テニス肘と似た症状を示します。

見分けるための主な検査方法

痛みの部位の詳細な確認

触診により、どの部位に痛みが集中しているかを確認します。

超音波検査

筋肉や神経の状態をリアルタイムで確認できる安全な画像検査です。

神経ブロック注射

一時的に神経の働きをブロックして、痛みの原因部位を特定します。

当院では、これらの検査を組み合わせて慎重に鑑別診断を行い、症状に応じた最適な治療を提供しています。 なお、「しびれ」などの神経症状が出る場合は、テニス肘単体でない可能性もあるため、注意が必要です。

テニス肘の治療方法

保存療法

基本的な治療アプローチとして、安静と適切な治療の組み合わせを行います。
症状が落ち着くまでは、テニスなどの誘発動作を控えることをおすすめします。

リハビリテーション

中長期的に最も高い効果が期待できる治療方法です。ストレッチや筋力トレーニング、適切な動作指導を理学療法士の指導のもと行います。
必要に応じてテーピングによる負担軽減も実施して、超音波治療などの物理療法も組み合わせながら進めていきます。

薬物療法

炎症症状がある場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服や湿布などの外用薬を使用します。これにより炎症を抑え、症状の改善が期待できます。
ただし、内服薬の長期使用は胃への副作用などに注意が必要です。

装具療法

伸筋腱の負担を軽減するため、専用のサポーターを使用します。効果的な装着位置は、上腕骨外側上顆より指2本分ほど手首側で、前腕の外側の筋肉にパッドが当たるように装着します。これにより、伸筋腱付着部への負担を減らすことができます。

注射療法

日常生活に支障をきたすほどの強い痛みがある場合は、ステロイド注射を検討します。注射により1~2ヶ月程度の症状改善が期待できますが、リハビリと併用することで、より確実な効果が得られるようになります。
ただし、注射の頻回使用は組織を脆弱化させる可能性があるため、慎重に判断します。

手術療法

保存的治療で十分な改善が得られない場合、患者様のご希望に応じて手術を検討します。関節鏡視下での変性組織の除去や付着部の部分切除など、症状に応じた手術方法を選択します。手術後は通常3~6ヶ月程度の回復期間が必要となります。
※手術が必要な場合、連携する専門機関をご紹介いたします

自分でできるテニス肘のケア方法

ストレッチ

手を伸ばし、痛みの出ない範囲で腕を軽く伸ばします。肘を伸ばし、手のひらを上に向け、もう一方の手で手の甲を押さえながらゆっくり引っ張り、手首のストレッチを行います。無理のない範囲で10秒程度キープし、2〜3回繰り返します。

マッサージ

肘周辺の筋肉を優しくもみほぐすことで血流を促し、痛みの軽減が期待できます。親指で肘の周りの筋肉をゆっくりと押しほぐすようにしましょう。

輪ゴムを使ったケア方法

輪ゴムを手指に引っかけ、指を広げるように動かします。この運動は肘の周りの筋肉を鍛えるために効果的で、テニス肘の症状を和らげるのに役立ちます。指を広げた状態で2〜3秒キープし、ゆっくりと戻す動作を10回程度繰り返します。

サポーターの使用

サポーターを使うことで肘への負担を軽減し、炎症が悪化するのを防ぎます。医療用のテニス肘サポーターを選び、適切な位置に装着しましょう。テニスや長時間のデスクワーク時に装着すると効果的です。

湿布の効果的な貼り方

痛みがある箇所に冷湿布を貼ると、炎症や痛みを和らげる効果が期待できます。特に痛みが強い初期には冷湿布、慢性的な痛みには温湿布が効果的です。湿布を貼る際は、肌を清潔にし、長時間貼り続けないようにしましょう。

テニス肘の予防と生活の工夫

テニス肘は適切な予防と生活習慣の改善により、発症や再発のリスクを大きく減らすことができます。当院では、以下のような予防方法と日常生活での工夫をご案内しています。

疲労回復のためのケア

運動後や長時間の腕の使用後は、適切なストレッチで筋肉をケアすることが重要です。これにより血流が改善され、組織の回復を促進します。
特にデスクワークや長時間のスマートフォンの操作、家事の後は、手首から肩までの入念なストレッチを心がけましょう。

適切な運動量の管理

繰り返される肘の痛みは、過度な使用(オーバーユース)のサインかもしれません。運動メニューや時間を見直して、適度に休憩することが大事です。

正しいフォームの習得

特に運動初心者の方は、誤ったフォームにより肘に過度な負担がかかっている可能性があります。体幹を使わない「手打ち」のフォームは特に注意が必要です。
コーチや仲間からのアドバイス、動画撮影による自己分析などで、フォームを見直すことをおすすめします。

デスクワーク環境の整備

パソコン作業時は、手首の過度な背屈を防ぐためにマウスレストやキーボードレストを使用しましょう。これにより、手首から肘にかかる負担を軽減できます。

寝る時の注意点

睡眠時の姿勢も、テニス肘の症状に大きく影響します。以下のような点に注意して就寝することで、痛みの軽減と質の良い睡眠を得ることができます。

  • 仰向けで自然な姿勢をとる
  • 患側の腕は枕やクッションで軽く挙上
  • 体がねじれるのを避けて、真っ直ぐな姿勢を保つ

など

テニス肘を放置するとどうなる?

テニス肘を放置するとどうなる?-なかしま内科循環器・整形外科クリニック(西宮院)テニス肘の経過は、症状の程度によって大きく異なります。軽度の痛みであれば、特別な治療を行わなくても自然に改善することがあります。しかし、この「自然治癒」を過信することは危険です。

特に注意が必要なのは、約10%の症例が「難治性」へ移行するという点です。症状を放置することで、治療が困難な慢性的な状態に進展するリスクが高まります。早期に適切な治療を受けることが重要ですので、痛みが長引く前に、西宮市のなかしま内科循環器・整形外科クリニックにご相談ください。